NEWS & BLOG | 神保町の小宮山書店 / KOMIYAMA TOKYO

本日は小宮山書店２F、写真集のフロアからデイヴィッド・アームストロングの写真集をご紹介します。

米マサチューセッツ州出身のデイヴィッド・アームストロングは70年代後半からニューヨークを中心に活躍した写真家です。

写真家のマーク・モリスローやジャック・ピアソン、ナン・ゴールディンなどと並び、ボストンのマサチューセッツ美術館に隣接するカレッジを70年代後半～80年代に卒業した「ボストン・スクール」の一人として知られています。

愛やジェンダーをテーマに同年代のアメリカをスライドショーで発表した写真家のナン・ゴールディンとは14歳からの親友で、デイヴィッドは彼女の最初の被写体でもありました。

デイヴィッドはどこの州でもLGBTQへの法的保護がない時代のなかで、自らがゲイであることを公言しながら、自身のコミュニティーや当時のクラブシーンをポートレイトで切り取り続けてきました。私小説的に記録した日常の時間からは刹那的な哀愁と美しさ、また被写体に向けられる愛と憧憬が感じられます。

特にエイズが得体の知れない病として流行した80年代～、周りの友人達や愛する人を失ったことは彼の写真のテーマに大きな影響を与えています。日常へのメランコリックな眼差しからは、愛と死が密接に存在することを強く認識した時代の空気が伝わってきます。また世界的にエイズの問題がセクシュアリティや人種に対する差別を浮き彫りにした文脈から、デイヴィッドの写真は社会のアウトサイダーとしてみなされていた世界を内側から表象した一つの記録としても評価されています。

“The Silver Cord” (1997) ‥人生の長さ（尺度）がテーマの作品集。あとがきはナン・ゴールディング。

“615 Jefferson Avenue”(2011) ‥モデル達を自分の見つけた家に集めて撮影した写真集。ライアン・マッギンレーとの対談収録。

“Night and Day”  (2012)‥　生前最後の作品集。ジャック・ピアソンとの対談収録。