［東京・一九四五年秋　初版・第2版 2冊セット / 写真：木村伊兵衛　企画デザイン：原弘　文：中島健蔵］ | 神保町の小宮山書店 / KOMIYAMA TOKYO

こちらは戦後間もなく出版された写真集です。版元である文化社は、終戦とともに解体した東方社の新たな組織で、メンバーはほぼそのまま写真家の木村伊兵衛、グラフィックデザイナーの原弘等で構成されました。東方社は、戦中のプロパガンダ的大型グラフ誌「 FRONT 」を作った出版社で、戦後は文化社となりまず子供に向けた英語教本を出版、続いてこちらの「 TOKYO FALL of 1945 」を刊行しました。
表紙は、終戦後間もなく現れた新宿界隈の闇市を撮影したもの。赤地に覆われたモノクロ写真に、初版は黄色いタイトル、第2版は白いタイトルが施されており独特の熱気が漂う一冊です。初版と第2版の違いは発行月、序文の英訳の有無（初版：有　第2版：無）の他、写真の差替えが数カ所ございます。さらに、初版、第2版ともソフトカバーですが初版にはカバーが付きます。
豊富な写真が、それぞれ地名や建物名等とともに掲載されているため、ヴィジュアルだけでは無く資料としても大変貴重です。やはりプロパガンダ的側面も含まれる作品ですが、当時のリアルな東京の風景、暮らしを垣間見ることが出来る充実した内容の写真集です。

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