［森田衣起 写真集 Ⅰ　Ⅱ　Ⅲセット / 写真：森田衣起］ | 神保町の小宮山書店 / KOMIYAMA TOKYO

森田衣起（1949-）は東京綜合写真専門学校出身の写真家。同校などで教鞭を執る傍作品制作を続け、こちらは1989年から91年にかけて自費出版されたボックスシリーズⅠ、Ⅱ、Ⅲセットです。オフセット印刷によるフォトシートがそれぞれ20枚収められています。また各シリーズに重森弘淹や大辻清司、桑原甲子雄のテキストが付属しています。
Ⅰは大盤カメラによる風景写真で、雑草の生い茂るなか石や木が散乱したイメージが続きます。Ⅱは、地上5メートルの距離から見下ろすように撮影された海辺のシリーズで、日常的な視点とも俯瞰とも違った視覚を提示しています。Ⅲでは打って変わって街に繰り出し、"ふと"撮影されたようなスナップ写真で構成されています。重森の弁を借りれば、〈ふと〉は〈不図〉とも書き、〈はからずも〉を意味するといいます。
各シリーズをお手元でお楽しみいただける上、Ⅱ、Ⅲの函に直筆サイン入りとなっております。この機会に是非ご検討ください。またご不明点等ありましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。

〜　人間は不在だが、歴然として作者の気配は濃密だ。自分の好きな時間と空間に、孤独ながら至福のときを享受している。これは作者にだけ許される特権であって、余人にはうかがい知れない。一見、ぬくみを感じさせるような画面だが、しかし余人の介入を許さぬエゴイスティックな冷たさも伝わってくる。そして、それが作家の作家である所為のものなのだ。　〜
（Ⅲ　重森弘淹『〈不図〉のイメージ』より抜粋）

【付属テキスト】
Ⅰ　重森弘淹『光景の彼方へ　森田衣起のミクロ・コスモス』、大辻清司
Ⅱ　重森弘淹『時間的なイメージ』、桑原甲子雄『水際のアンソロジー』
Ⅲ　重森弘淹『〈不図〉のイメージ』

【サイズ】
Slip case size: H160 x W211 (mm)
Photo Sheet size: H147 x W200 (mm)
Leaflet size: H146 x W196 (mm)